AIを活用して複数のメディアを運営しようとするとき、多くの人は「AIに今日のタスクを割り振らせる」「自動でスケジュールを組ませる」といったスマートな進行管理を思い描く。
しかし実際にAIへ「今日のタスクは?」と問いかけても、まともなタスク一覧は返ってこない。タスクを組むために必要な「各媒体の現在の状況(事実)」がAI側に共有されていないからである。
AIに段取りを任せる前に必要なのは、高度な思考プロンプトではなく、前提となる「正確な実測データ」を自動で揃える仕組みだ。
WALLEVEでは、毎朝自動で届く実測メールを基点にした二層構造のタスク管理を組み、実機で検証した。本記事では、その構造と設計の狙いを解説する。
1. なぜAIに「今日のタスク」を丸投げできないのか
タスク管理を自動化しようとして最初に突き当たる壁が、「事実」と「判断」の混同である。たとえば日曜日にやるべき作業を特定するには、次の事実が要る。
- 各メディア(各ブログ、YouTube各チャンネル、)の最新公開記事・動画のタイトル
- 最終公開日
- 本日のスケジュールに対する更新可否(判定結果)
この「最新の公開状況」という事実がないままAIに「今日のタスクを教えて」と尋ねても、AIは推測で答えるか、過去の一般的な指示を繰り返すしかない。つまりタスク管理をAIに委ねるには、意思決定のインプットとなる「データ収集(実測)」と、それを基にした「進行管理(判断・変換)」を、はっきり切り分ける必要がある。勿論クロードでも実測できるが時間が掛かるので、今回の分散となった訳である。
2. データ層:GASによる毎朝の実測自動通知
WALLEVEの運用では、まず「データ層」の自動化から実装した。Geminiと作成したGoogle Apps Script(GAS)が毎朝定刻に起動し、運営中の各媒体の公開状況を実測する。
取得した情報は、整理されたテキストとして指定のメールアドレスへ自動送信される。
実測メールの構成
毎朝届くメールには、媒体ごとに次のフォーマットでデータが並ぶ。
- 媒体名:ブログ/YouTube/の各名称
- 最新公開タイトル:直近で公開されたコンテンツの名称
- 公開日:最終更新の日付
- 判定:スケジュール通りか、遅れが出ているかのステータス
この仕組みにより、人(運営者)もAIも、朝いちばんで「各媒体が今どういう状態にあるか」という一次情報を、手動操作なしで正確に把握できる。
3. 進行層:Antigravityによるタスク変換とClaudeへの引き渡し
データ層で生成された実測メールは、次に「進行層」であるAntigravityへ渡される。(自動でメールから取得)Antigravityは、受け取った実測メールの内容(現在の事実)と、あらかじめ定義した曜日ごとの運用ルール(例:日曜はInstagramコンテンツの作成と週次棚卸しを行う)を照合する。ここで初めて、「現在の事実」が「本日の具体的な実行タスク」へと変換される。
- 実測メールの受信:今朝時点の全媒体の最新公開状況を取得する。
- 状況把握と照合:運用ルールに基づき、優先して進めるべき作業を抽出する。
- タスク定義:当日に実行すべき作業単位(コンテンツ執筆、週次棚卸しなど)を決める。
- 実行指示の生成:執筆・整形を担当するClaudeなどへ、具体的な指示を引き渡す。
Antigravityが進行管理に専念できるのは、その前段でGASによるデータ収集(実測)が終わっているからである。
4. 設計の効きどころ:事実と判断を切り分ける二層構造
この設計で最も重要なのは、「データ層(GAS)」と「進行層(Antigravity)」を完全に分離した二層構造にある点だ。
| 階層 | 担当システム | 役割・機能 | 出力成果物 |
|---|---|---|---|
| データ層 | GAS(Geminiと作成) | 各媒体の最新公開状況を自動で取得・収集する(事実の集積) | 毎朝届く実測メール |
| 進行層 | Antigravity | 実測メールを読み込み、ルールに基づいて当日タスクへ変換する(判断・分配) | Claudeなどへの具体的な作業指示 |
データ収集とタスク判断を単一のスクリプトやAIで同時に行おうとすると、処理が複雑になり、エラーの切り分けも難しくなる。更に処理が複雑であれば時間も掛かる。「事実を集める仕組み」と「事実を基に段取りを組む仕組み」を分けることで、朝の意思決定は速くなり、システム全体の堅牢性も上がる。
5. 1人で複数媒体を回すための役割分担
1人の運営者が複数のメディアを破綻なく続けるには、AIごとに役割(責務)を明確に割り当てることが欠かせない。現在の分業体制は次の通りである。
- Antigravity(管理)
実測データを受け取り、本日のタスク定義と全体進行を管理する秘書的な役割。であるが現在は前任のクロードの検修を入れて仮の運用中である。足りない部分をAntigravityにフィードバック中。 - Gemini(記事作成)
主に記事の作成、Google Serviceとの連携が必要な作業を担う。※実測メールの土台となるGASも、当初Geminiと作成した。 - Codex(コード・自動化)
原稿の下書き、画像生成、動画生成、スクリプト作成や定型処理といったコード寄りの作業も担う。 - Claude(司令塔・検収・整形・入稿)
司令塔でありAntigravity(秘書)の情報を元にこれからの企画、計画、タスクの割り振りを決める。テーマに基づく原稿の下書き指示、作成後の検修を担当する。の構造確認、Gutenberg用ブロック整形、WordPressへのdraft入稿を実行する。 - オーナー(公開判断)
最終的な品質確認と記事修正、調整公開承認を行う判断役。
各AIが単一の役割に集中することで、人は「朝届いたタスクを確認し、最終判定を下す」という最小限の関与で全体を回せる。
6. まとめ:賢い司令塔の前に「正確な事実」を用意する
AIを使った効率化やタスク管理では、いかに高度なAIに指示を出させるかという「司令塔の賢さ」ばかりに注目が集まりがちだ。
しかし今回の検証で確認できたのは、システムを安定して動かす鍵が、「毎日届く正確な事実(実測データ)」を自動で供給する環境そのものにある、ということである。
今朝の検証でも、GASが毎朝自動で実測メールを届け、その事実に基づいてAntigravityが本日のタスク(Instagram更新および週次棚卸し)を滞りなく抽出・展開できることを確認できた。
AIに段取りやスケジュールを任せたいと思ったら、まず「そのAIが判断を下すための一次情報が、自動で手元に揃う仕組みになっているか」を見直すところから始めたい。どの工程もやはり分散や同時進行できる環境を構築しボトルネックを取り除く事が鍵となる。
WALLEVEについて
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