AIに、ハンドメイドバッグの「受注設計」を任せてみた。出てきた成果物は3つ——記事原稿1本と、画像2枚(デザインの作成案と、パーツ構成の展開図)。
ただし、そのまま公開に使えた箇所はゼロだった。人の手で直したのは5種類。今回はその内訳を、数字と事実だけで正直に記録する。
WALLEVEでは、ハンドメイド作家サイト「ワンティル」で、minneなどのオーダー(作成依頼)が来た場面を想定し、AIでバッグの作成案と展開図を作る新連載を始めた。制作は、Gemini上に用意した専用アシスタント「ワンティルGem」に担当させている。この記事は、それを事業側から見た実験ログ第1回だ。
やったこと:AIに設計の“下書き”を作らせる
工程はシンプルだ。まず作りたい条件(A4が入るマチ付き帆布トート/生成りベース+ブラウンの持ち手。今回はまず無地で作り、刺繍などの装飾は次回に足す)を申し送りにまとめ、ワンティルGemに渡す。
返ってきたのが、記事原稿1本と、完成イメージの作成案・パーツ構成の展開図の2枚だった。ここまではAIがやる。そこから先、検収と整形は人(WALLEVE側)がやる。
AIで“回せた”ところ
- イメージの即時可視化
言葉だけになりがちな受注のやり取りで、「こういう仕上がりです」と見せられる完成イメージが最初から手元にある。これは強い。 - パーツの抜け防止
展開図に落とすことで、内ポケットや裏地といった「後から気づいて足りなくなる」パーツを、設計段階で一覧にできた。 - 生地の原価計算
生地の購入単位を決める為決められた幅の生地をどれくらいつかべ良いのかが分かり受注販売の価格を伝えるのに材料費が分かりやすく成った。
つまりAIは、「頭の中の完成像を外に出す」「必要な部品を並べる」という設計の下書き作業では、はっきり役に立った。
AIに“任せきれなかった”ところ
- 正確な型紙は作れない
AIが出した展開図はあくまで「コンセプト図」。縫い代(1〜1.5cm)や折り返し、実寸の裁断線は、人が手で引き直す必要がある。ここは自動化できなかった。 - 装飾を足すならデータ化が別工程
今回は無地なので発生しなかったが、次回のように刺繍などの装飾を足す場合、画像上の絵はあくまで「描かれた絵」。実際にミシンで刺すには、刺しゅうPRO11などのソフトでデータを作る工程が別に要る。 - 図中の文字は苦手
展開図画像の英字表記に綴りミスが出た(ブランド名や材料名の英字が正しく書けていない箇所があった)
画像生成AIは文字が不得意、という弱点がそのまま出た実例だ。
人の手が要ったコスト:整形は5カテゴリ
冒頭の「そのまま使えた箇所はゼロ」の中身がこれだ。AIの原稿は、媒体のルールに合わせて次の5種類を人が直した。
- 本文中の見出しレベル(タイトル用のh1が本文に混ざっていたので除去)
- 本文サイズの統一(段落・リストを規定の文字サイズに)
- リンクの実URL化(仮リンクを実際の販売ページ・関連記事に)
- 強調(太字)の位置ずれの修正
- 導線の要否判断(不要なCTAブロックを削除)
結論はシンプルで、AIの原稿は「そのまま公開」はできない。媒体ルールへの整形は、まだ人の仕事だということ。ただし、直したのは体裁の5点であって、内容そのものは組み直していない。ゼロから書くより速いのは間違いない。
まだ測れていない数字(正直に)
今回はっきり出せた数字は、成果物3点と、整形5カテゴリ。一方で、「Gemが出力するまでの時間」「手作業で同じ設計をした場合の時間」「かかったコスト」は、まだ正確に計測できていない。ここは次回、時間を計りながら検証する。数字が取れていないものを、それらしく書くことはしない。
まとめ:AIは「叩き台」、仕上げは人
第1回でわかったのは、役割分担の形だ。デザイン案とパーツ構成の“叩き台”はAIで一気に作れる。だが、正確な設計と媒体への仕上げは人が担う。
副業にAIを取り入れるなら、「AIで下書き→人が仕上げ」の線引きが現実的だと思う。全部を任せようとすると、かえって直しで時間を食う。
実際にAIが作った作成案と展開図、そして仕上げた記事は、ワンティルの連載第1回で公開している(AIでバッグ設計 #1|トートバッグ)。あわせて、ハンドメイドを副業にする全体像はこちらの完全ロードマップにまとめている。
WALLEVEの取り組みについて
WALLEVEは、AIと組んで複数の小さな事業を同時に動かす実験を続けています。事業・協業・活動へのお問い合わせは、WALLEVE公式窓口からどうぞ。こうした実験記録を、これからも数字と事実で残していきます。
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